革修理ブログ

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2025/01/16

ダイニングチェアの張替え施工

みなさんこんにちは、革研究所 堺店です。

ブログをご覧いただきありがとうございます (^_^)/

 

今回は、ダイニングチェア

張替え施工をご紹介いたします。

 

和泉市在住 O様からご依頼をいただきました。

 

目次

①施工前の画像とご説明

②施工後の画像とご説明

③今回のダイニングチェア 張替え施工の工程

④椅子の歴史のご紹介

⑤施工ご依頼・お問合せ方法・アクセス方法

 

 

①施工前の画像とご説明

写真をご覧の通り、ダイニングチェアの座面や背もたれ部分が破れています。

 

今回ご依頼いただいたダイニングチェアの生地は合成皮革です。

合成皮革は、天然の生地を基にポチウレタン樹脂やポリ塩化ビニール

などの合成樹脂で表面をコーティングした人造皮革です。

合皮と呼ばれています。

 

合成皮革の特徴

・本革に近い質感を演出できる

・水をはじくため、汚れにくく耐水性に優れている

・フィット感があり、グリップ力に優れている

・大きさや形に制約がなく、品質が均一に製造できる

 

合成皮革のデメリット

・本革に比べて寿命が短く、経年劣化する

・素材の特性であるため、劣化症状を避けることができない

 

合皮が経年劣化すると施工前の写真のように皮が裂けた状態になります。

少し裂けた状態で使用していると衣服を引っ掛けたり、体が当たった際に

皮膚が切れて怪我する場合がありますので注意が必要です。

 

 

②施工後の画像とご説明

いかがでしょうか!!

皮が裂けていたダイニングチェアの座面、背もたれの皮を張り替えることで

綺麗になります。

皮を張り替えたことで衣服が引っ掛かったり、体が当たり皮膚が切れて

怪我をする心配もなくなります。

また、皮を張り替えたことでSDGsの観点から環境へも配慮されています。

 

 

③今回のダイニングチェア 張替え施工の工程

1,ダイニングチェアから座面、背もたれ取り外し

ダイニングチェアからネジで固定されている座面と背もたれを

プラスドライバーを使用して取り外します

2,座面、背もたれの皮を取り外し

座面の皮はステープルで(ホッチキスの様な形)固定されていますので、

専用工具を使用してステープルを外して、座面から取り外します

背もたれの皮の縫い目の糸を切り、背もたれから合皮を取り外します

3,座面、背もたれの皮を分解

背もたれの皮の縫われている糸をすべて外します

4,採寸

分解した座面、背もたれの皮の寸法を計測します

5,張り替える生地にマーキング

張り替える皮に分解した皮の寸法をマーキングします

6,裁断

マーキングした皮を裁断します。

7,縫製

背もたれの皮を繋ぎ合わせて縫製します。

8,皮を座面、背もたれに取付

皮を座面、背もたれにステープル(ホッチキスの様な形)を

打ち込む専用工具のタッカーを使用して固定します。

取付ける際には、皮がよれたり、シワにならないように皮を伸ばしながら固定します

9,ダイニングチェアに座面、背もたれを取付

プラスドライバーを使用してダイニングチェアに座面、背もたれを

ネジで固定します

 

 

④椅子の歴史のご紹介

椅子は紀元前3000年〜4000年ほどのころ、粘土で作ったものが

使われていたといわれています。

木製の椅子はエジプト文明の頃、紀元前何十世紀という頃には使用されています。

ツタンカーメンの椅子などでも知られている背もたれのある椅子は、

当時権威を表すための道具として用いられたと考えられます。

 

11世紀から12世紀ごろのキリスト教を中心とした西ヨーロッパの建築、

装飾の様式をロマネスクと言います。

この時代は、建築物であるピサの大聖堂に代表されるように、

かまぼこ状のアーチを横に連続させた装飾であるアーケード装飾が特徴の一つです。アーケード装飾は、ローマ以降様々な様式で採用されていますが、

チェストや椅子などの家具にもこの装飾が多用されました。

 

 

12世紀後半に北フランスで起こり、13〜14世紀に最盛期となった

西ヨーロッパの建築、装飾様式をゴシック様式といいます。

キリスト教会が圧倒的な支配力を持っていたため、

教会建築はその権威を象徴するように高く伸び、

家具や室内装飾も厳しい彫刻を施した重厚なものが多いです。

ギルドと呼ばれる手工業者の同職組合の制度が定着し、技術が発達したため、

ゴシックの家具は西洋のクラシック家具の原型といわれています。

また、チェストやハイバックチェアなど、彫刻装飾の施された大型家具が製作されました。

装飾のモチーフとしては、アカンサス、唐草、渦巻きが用いられました。

パネルや窓の装飾として、麻布を折りたたんだようなリネンホールドや、

トレーサリーと呼ばれる幾何学模様の格子や、

火炎のように見えることから名付けられたフランボワイヤンが流行しました。

 

 

13世紀末にイタリアのフィレンツェで起こり、

15〜16世紀には全ヨーロッパで栄えたのがルネサンスという芸術様式です。

「再生」という意味のルネッサンスは、ギリシャやローマの古典文化の再生を意味しています。

家具においても古典的な装飾を施して、シンメトリーが重視されました。

椅子は、ダンテが愛用したダンテスカ、高僧の名前に由来するサボナローラ

という折り畳み椅子、スガベルロという八角形の座面を持つ椅子、

カッサパンカと呼ばれている長いすが代表的です。

 

フランスでは、16世紀初期のフランソワ1世の時代にルネッサンス様式が導入されました。

椅子では、当時流行した大きく膨らんだスカートを着た女性を考慮した、

カクトワールという台形の座面を持つ椅子が流行しました。

おしゃべり椅子とも呼ばれるこの椅子から、衣服の形態に家具を

合わせるような動きもみられます。

 

イギリスでは、エリザベス様式、初期ジャコビアン様式として独特な広がりが見られます。

エリザベス様式の家具は、脚や柱の途中にある、かぶら型の挽物の特徴が椅子にも見られました。

 

 

バロック(イタリア語で歪な真珠を意味する)様式は、

17〜18世紀頃に絶対君主制のヨーロッパ各国で盛んになりました。

豪華さを競う芸術様式ともいえ、それまでのルネッサンスの秩序ある厳格な

規則性を離れ、有機的な流動性が強調されています。

 

フランスではルイ13世〜14世の時代にあたり、14世の時代のものは

ルイ14世様式とも呼ばれています。

ヴェルサイユ宮殿は、バロック様式の象徴ともいえる建築物です。

 

イギリスでは、ねじり脚やらっきょう形が見られる後期ジャコビアン様式、

寄せ木や象嵌の技術を用いたウィリアム・アンド・マリー様式です。

ウィリアム・アンド・マリー様式の家具は、フランスやオランダの影響を

受けて脚先が曲線になっており、ウォールナット材が多用されました。

 

 

ロココ(フランス語で貝殻や石で装飾した築山を意味するロカイユが由来)は、

18世紀前半の室内装飾にその特徴が現れるインテリアの様式となります。

貴族の享楽的生活傾向に基づいた、曲線的で優雅な造形が特徴的です。

権力を示す目的だけではなく、貴族の生活の中で実際に使用されました。

ロココ様式では、ルネッサンス〜バロック様式に見られる

シンメトリーの原則が細部で破られています。

また、淡いソフトな色調が好まれていました。

 

コモード、コンソール、ビューロなどに特色が現れています。

ガブリオール・レッグ(猫脚)と呼ばれるS字カーブを描く脚が共通するのが特徴で、

曲線的な構成、繊細な装飾、金色の仕上げが多用されました。

 

フランスでは、ルイ15世様式とも言われています。

ガブリオール・レッグに軽快・繊細な曲線的構成で、

寄木細工の装飾などが施され豪華な印象となっています。

椅子に関しては、座や背にクッションを十分に使用しているのが特徴的です。

 

イギリスでは、クイーン・アン様式の椅子は、同じくガブリオール・レッグが

用いられた比較的シンプルなデザインが特徴的です。

背板に透かし彫りが施した椅子や、安楽椅子のウィングチェアなどが知られています。

 

 

18世紀中期以降のヨーロッパは、ルネッサンス以来再び古典的な造形が復活しました。

古代ローマ遺跡の発掘などの影響を受けた流れを、

ネオクラシシズム(新古典主義)といいます。

ネオクラシシズムの造形はルネッサンス期と同じく、シンメトリックで直線的で、

ギリシャ・ローマ時代の装飾モチーフが多用されます。

家具にはコリント式オーダー、月桂樹などがモチーフに用いられました。

椅子やテーブルの脚は溝彫り(フルーティング)を施した丸い断面の細い直線脚、

表面装飾は平坦で寄木細工が好まれていました。

 

フランスでは、ルイ16世式と呼ばれ、フェスツーンという植物を

網状に編んだ飾りが用いられました。

また、ジャン・アンリ・リーズネルは、ルイ16世様式とも呼ばれる時代に

マリー・アントワネットが愛用した家具を作り有名になりました。

 

18世紀後半のイギリスでは、ジョージアン様式として有名な家具作家を輩出しています。

建築家・インテリアデザイナーのアダム兄弟は、古典的なモチーフを使った

洗練されたスタイルを生み出しています。

家具ではメダリオン(卵形)の背の椅子などが知られています。

ヘップルホワイト様式は、シールド(盾形)やハート形、

四角形の先細りの脚の椅子が有名となっています。

 

 

 

日本の椅子の歴史

日本の椅子の歴史は古く、約1500年以上にわたる長い歴史があります。

 

椅子とは背もたれと肘掛けが付いているタイプを想像するのではないでしょうか。

日本では、チェアタイプが普及したのは明治以降です。

それまでは“腰掛けのようなスツールタイプが使われていました。

 

日本は、仏教の影響を受けて、「床に座る」という文化が根付いていますが、

日本で一番古い椅子(腰掛け)は弥生時代前期と言われています。

弥生時代のものと思われる、イスをかたどった埴輪、

丸太をくり抜いた「イスらしきもの」が発見されています。

「イスらしきもの」が日本では“最も古いイス”とされているそうです。

 

弥生時代の「イスらしきもの」の素材は、広葉樹のクヌギ。

装飾などはなく、ずっしりと重たい椅子でした。

形状などから機織りをするときに女性や子どもが座っていたと考えられています。

 

 

椅子は権威の象徴

日本に現存する肘掛けタイプで一番古いのは、正倉院に所蔵されている

「赤漆槻木胡床(せきしつつきのきこしょう)」です。

 

あぐらをかいて座れるくらい座面が広く、直線的なデザインが特徴です。

ケヤキ材に赤い漆が塗られていて、脚先や座面の角には金銅製の金具が取り付けられています。

 

これは天皇が儀式の際に座るためのものだそうで、

貴族たちは背もたれのないスツールタイプの椅子に座っていました。

このことから椅子は権威や身分の高さを示す道具だったといわれています。

 

庶民が座ることが出来たのは、家の縁側、木や竹などで作られた縁台、

茶店などに見られる“背もたれのない長い腰掛け”などに限られていたそうです。

 

 

江戸時代~明治時代

 

江戸時代になると、庶民の間でも椅子の需要が増えてきました。

しかし、座布団や座敷文化が根付いていたため、洋式の椅子よりも和風の座椅子が一般的でした。

 

鎖国が終わり欧米諸国との交流が始まったころから椅子にふれる機会が増え、

明治時代になるころには学校で椅子が使われるようになりました。

一般家庭にも少しずつ普及していきました。

 

海外から持ち込まれた椅子をもとに、江戸時代末期には日本人の大工も椅子をつくり始めました。

日本の職人たちは、外国から入ってきた椅子を真似てつくり、

和室でも使える椅子などを考案しました。

 

時を経て、戦後はアメリカ文化が流入し、住宅には洋間が作られるようになり

椅子の生活が広まっていきました。

 

ここまで椅子の歴史について紹介させていただきました。

私たちの身近には色々な革製品があります。

今後も革やブランドについての歴史などをご紹介したいと思っております。

 

お手入れをすれば長く使えますので、革製品での補修や染め直し(リカラー)、

カラーチェンジなどがありましたらぜひ革研究所堺店にご連絡ください。

 

 

⑤施工ご依頼・お問合せ方法・アクセス方法

革研究所  堺店

住所:〒593-8302 大阪府堺市西区北条町2-23-16 革研究所 堺店

電話番号: 072-200-3500

E-mail:  support@sakai-kawaken.com

URL:  https://sakai-kawaken.com

LINE:  https://lin.ee/I578UYx

営業時間:10:00~18:00

定休日:日曜日、祝日に加え

土曜日・月曜日は不定休でお休みさせていただきます。

 

出張可能エリア

堺市堺区、堺市北区、堺市中区、堺市西区、堺市東区、

堺市南区、堺市美原区、泉大津市、大阪狭山市、河内長野市

大阪府南部(泉佐野市、富田林市他 )

 

公共交通機関でのご来店

  JR阪和線 上野芝駅より徒歩17分

 

お車でのご来店

阪神高速湾岸線 出島出口より約15分

阪和道 堺インターより約15分

納品等で外出している可能性がございますので、

ご来店する際は、事前におおよその日時のご連絡をお願いいたします。

革修理対応製品

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革鞄・バック

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革の鞄(カバン)のスレやキズの補修、変色、革の色を変える(カラーチェンジ)までお任せください。VUITTON(ヴィトン)GUCCI(グッチ)等の革ブランド品も修理可能です。

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革財布(サイフ)、小銭入れ、キーケース等の小物全般の革のキズ、スレをキレイに修理いたします。CHANEL(シャネル)GUCCI(グッチ)等のブランド革小物の修理ももちろんOKです。

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男性物の革靴、女性物のブーツ等靴の革修理(スレ・キズの補修)も可能です。思い出の有る革靴等の修理はお任せください。もちろん革靴の修理に関してもブランド靴の修理可能です。

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革ジャン、革コート・革のジャケット等革衣類の修理、補修もお任せください。部分的なスレ・キズの補修から、革全体の色を変える(カラーチェンジ)まで幅広く対応いたします。

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革ソファー・革の椅子の修理実績も多数ございます。痛み具合によっては革の張替えも可能です。カッシーナ(CASSNA)等のブランドソファー修理もお気軽にご相談ください。

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自動車の革ハンドル・革シートの修理(リペア)も可能です。ベンツ・BMWなどの高級外車から、国産の自動車まで数多くの修理実績がございますのでお気軽にお問合せください。

店舗情報

革研究所 堺店

代表者 藤林 薫
所在地 〒593-8302 大阪府堺市西区北条町2-23-16
TEL 072-200-3500

対応エリア
大阪府 堺市全域・堺市近隣エリア

当店の革修理は革の事を知り尽くした熟練職人が一点一点丁寧に修理・補修いたします。思い出の有る大切な革製品を安心してお任せください。また、ブランド品(VUITTON・CHANEL・GUCCI等)の革修理経験も豊富です。革のキズやスレの補修はお任せください。革修理の御見積やお問合せはもちろん無料です。

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