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革修理ブログ
2024/12/08
紳士レザーコート リカラーの施工
みなさんこんにちは、革研究所 堺店です。
ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、紳士レザーコート
リカラー施工をご紹介いたします。
目次
ブラックのレザーコートですが、写真をご覧の通り全体的に色落ちがしています。
写真では見にくいですが、ボタンにスレ傷もあります。
ボタンのスレ傷をそのままにしておくと革が破れる可能性があります。
また、メンテンナンスをせず着用していると革がひび割れてくる事もあります。
今回は、大きいスレ傷もありませんのでボタンのスレ傷の補修、
リカラー(染め直し)をする事で綺麗な状態になります。
いかがでしょうか!!
全体的に色褪せ、ボタンのスレ傷がありましたが、スレ傷補修、リカラーをする事で
キレイな状態になり劣化を食い止める事ができるので、
補修前の状態で使うよりもより長く愛用する事ができます。
また、レザーコートは押入れにしまった状態で保管していると、
湿気などにより、革が痛んだりしますので、
定期的に外に出して空気に触れさせる事をおススメします。
1,クリーニング
長年の使用によって蓄積された手あかなどの油汚れを取り除く。
2,非塗装部分の養生(マスキング)
ボタンの裏や内側の生地など塗装しない部分の養生。
3,革の表面を平滑に仕上げる補修材を塗布
ボタンのスレ傷部分に補修材を塗布し、平滑にする。
4,下地の塗料を調色
数種類の塗料からグラム単位で調色
5,調色した塗料を塗布
スプレーガンで色落ちしている部分に調色した塗料を塗布
6,乾燥
7,塗料を調色
数種類の塗料からグラム単位で調色
8,調色した塗料+色止めコーティングを塗布
スプレーガンで調色した塗料と色止めコーティングをレザーコートに塗布
9,乾燥
塗装した部分に当たらないように気を付けて乾燥
10,オイル仕上げ
レザーコート全体にオイル塗り仕上げます
コートの起源は古代の民族衣装にまで遡ります。
古代エジプトやローマでは、上着として用いられる布の一枚ものが主流でした。
上着は、通常、身体を保護するために使用されていましたが、
貴族や高位の者が身にまとった際には、装飾的な要素も加わり、
社会的な身分や地位を示すものとなりました。
ローマ帝国では、トーガが代表的な衣装として、市民のシンボルとなり、
社会的な身分を示す重要な役割を果たします。
中世では、コートはさらに進化し、さまざまなデザインが登場しました。
この時代のコートのスタイルは主にその機能によって分類に分けられ、
中世の貴族階級は長いコートやマントを好むようになりました。
衣服は、贅沢な生地や刺繍で装飾され、時には毛皮のコートも作られました。
中世の騎士は戦闘の際にもコートを着用し、その役割は防御だけでなく、
戦場での威厳を高めるためにも使用されました。
また、コートの下にはチュニックやシャツを着用するスタイルが一般的で、
これにより多層的なファッションが生まれたのです。
ルネサンス期
ルネサンス期では、コートのデザインはさらに洗練され、
美術や文化の進展とともに新たなファッションスタイルが生まれました。
コートは着用者の社会的地位や個性を表現する重要なアイテムとなり、
豊かな色使いや複雑な仕立てが求められました。
コートは多くの場合、豪華な生地で制作され、特に貴族や商人は
装飾の違いによって他者との違いを強調しました。
また、イタリアの影響を受けたフランスでは、衣服のスタイルが大胆に変化し、
コートはより広がりを持ち、豪華さを増しました。
特に、17世紀に登場した流行のフロックコートやサックコートは、
特異なラインと豊かなディテールが特徴で、シンプルなデザインから
複雑な装飾へと移行していきます。
これにより、コートは時代の流行を反映するアイテムとなり、
庶民層にも普及しました。
その後、コートはさまざまな時代や文化を経て、現在の多様なスタイルへと
進化し、コートのデザインは、まさに歴史の流れを映し出されているのです。
19世紀のコート
19世紀は産業革命の影響を受け、都市化が進み、
ファッションもより多様化していきました。
男性のコートスタイルは特に変革の時期を迎えます。
19世紀半ばには、ロングコートやフロックコートが一般的でしたが、
19世紀後半になると、シングルブレストやダブルブレストのジャケットが
流行しました。
これらのコートは、ビジネスシーンやフォーマルな場面で特に用いられました。
当時の紳士たちにとって必須のアイテムとなりました。
また、女性のコートも同じく進化を遂げたのです。
リボンや装飾が施されたボンネットを合わせ、自らの社会的地位を示すため、
色とりどりのコートが重宝されました。
クローゼットの中で重要な役割を果たしたこれらのコートは、
デザインにおいても、エレガンスと実用性が求められました。
さらに、アレキサンドリアコートと呼ばれる、タイトなウエストラインを
持つデザインが流行しました。
20世紀のコート
20世紀には、第一次世界大戦や第二次世界大戦を挟み、
ファッションは急激に変化した時代でした。
戦争中は物資の不足からシンプルで機能的なデザインが求められ、
コートもそれに応じて変わりました。
男性用のコートは軍服の影響を受け、トレンチコートやピーコートなどの防寒着
としても流行しました。
コートは実用性が重視され、ミリタリースタイルが一般に普及しました。
戦後、経済が回復し、人々が再びファッションに気を使えるようになると、
コートスタイルはさらに多様化します。
1950年代には、オーバーサイズのコートやマントが登場し、
特に女性のファッションではシルエットに大きな変化が見られました。
デザイナーたちは、色やパターンを大胆に使うことで、
個性を表現するコートを生み出したのです。
この時代の代表的なスタイルには、クリスチャン・ディオールの
ニュールックがあり、ウエストを強調した美しいラインのコートが
多く作られました。
1960年代以降も多くのスタイルが誕生し、サイケデリックなデザインや
よりカジュアルなジャケットスタイルが登場します。
ファッションの流行は無視できない社会的背景と結びつき、
マスコミやポップカルチャーの影響を受けました。
音楽や映画といった大衆文化がファッションに与える影響は大きく、
1960年代のヒッピームーブメントなどによって、
コートは自己表現の一環とされるようになりました。
このように、近代のコートデザインは時代と共に進化し、19世紀から20世紀を通じて、社会的背景や文化的変化に大きく影響を受け続けてきたのです。これらの流行は、現在のコートデザインにも脈々と受け継がれています。
コートの種類のご紹介
フォーマル系のコート
チェスターフィールドコート
礼装用途にも使用される外套。屋内礼装・屋内準礼装である燕尾服、
モーニング、ディナージャケット(タキシード)、ディレクターズスーツの上に
着用しても礼を失しないとされています。
フロックコートや背広に似た形状で、ノッチト・カラーで、胸に箱ポケット、
両脇にフラップ付きポケットが付き、ウエストをやや絞った背広を巨大化したような外見です。
前袷は本来シングルフロントの比翼仕立てででしたが、
ダブルフロントの物もあり、どちらの形であっても中に着込んだ上着が
見えないようにVゾーンを狭く着丈を長く作るのが伝統的な意匠になります。
また上襟をベルネットやサテンなどの光沢のある別素材で仕立てると、
よりドレッシーな衣装となります。
名前の由来はイギリスのチェスターフィールド伯爵が
最初に着たという説が有力とされる
セミフォーマル系・スポーツ系
アルスターコート(ガーズコート、ガーズマンコート)
フレンチコートの元祖。元々、北アイルランドのアルスター地方産の
ウール素材を使用したことが名の由来となっています。
1860年代末に男性用として登場し、のちに女性用にもデザインが
採用されるようになりました。
英国の旅行着として流行し、シャーロック・ホームズのシリーズの
一作におけるホームズの旅行用コートとしてもアルスターコートが
取り上げられています。
アルスターカラーの前袷がダブルフロントの6ボタンか8つボタンが特徴です。
取り外しができるフードやケープつきで、背バンドという帯が背中に付いています。
仲間にポロコート、ブリティッシュウォーマーがあります。
重い生地で仕立てることが多かったためヘビーコートとも呼ばれています。
また袷の深いダブルフロントで嵐にも耐える意味からストームコートとも呼ばれています。
ポロコート
ポロ競技者が待ち時間に着用するイギリス発祥の厚手ウール製のロングコートで、
ブリティッシュウォーマー、アルスターコートと関連が深いです。
元々ウエイト・コートと呼ばれていましたが、アメリカに渡り、
ブルックス・ブラザーズ社からポロコートの名で売り出されました。
ダブル6つボタン、背バンドが付き、袖口は幅広の折り返しのターンナップカフ、
襟はアルスターカラーまたはピークドラベル、ポケットは
大きめのフレームドパッチ式ポケットが特徴です。
日本には20世紀半ばにアイヴィールックのアイテムの一つとして
米国経由で紹介されました。
その当時ブルックス・ブラザーズ社が提案したキャメルブラウンのポロコートが
人気を博しました。
ブルックス・ブラザースモデル以前の、英国での伝統的ポロコートは
ダークカラーが中心であったとの説もあります。
カバーコート
古くは乗馬や狩猟の際の防寒コートとして、カバートクロスと呼ばれる
丈夫な綾織りウールで作ることから名づけられたコート。
カバートクロス生地は、狩猟時に獲物を追いながら木立や藪をくぐり抜ける
際に引っ掛かったり鉤裂きが起きにくいように、
起毛を寝かせ滑らかに仕上げられていることが多いです。
チェスターフィールドコートと同様にフォーマルで用いられる場合もあります。
また20世紀前半英国の街着として流行しました。
袖や裾に3本から4本のステッチ(レールウェイステッチと呼ばれる)が入り、
前袷は風が入りにくい比翼仕立てのシングル3つまたは4つボタンとなっています。
ローデンコート
(ローデンシューティングコート、オーストリアンローデンシューティングコート)
オーストリア西部のチロル地方でつくられる厚手の縮絨ウール生地
ローデンクロスで作られるコートです。
本来は狩猟や農業、林業に用いられました。
ローデンは、ウール本来の脂を残すことにより、防水性を持った素材で、
多様な色に染められています。
深めの前袷に打ち抜きのくるみボタン、脇の下を縫い付けないことにより
肩周りの可動域を広く取り猟銃を構えやすくするフローティングショルダー構造、
肩甲骨あたりまで達するインバーテッドプリーツ、裏地をつけない
一枚仕立てなどが特徴です。
昔ながらのローデンコートはローデン・グリーンと呼ばれる緑がかった色合いのものが多いです。
本来狩猟用のスポーティーなコートですが、
フランツ・ヨーゼフ1世などが着ていたこともあり
フォーマルなコートとして用いられる場合もあります。
70-80年代にヨーロッパで街着として流行しました。
スポルベリーノ
イタリア発祥の比較的軽量な防寒コートです。
芯地や肩パッドなどの副素材がほとんど無い柔らかい着用感が特徴。
研究職の白衣、ダスターコートを外出用に転用したとの説があります。
チェスターフィールドコートの意匠を踏襲していますが、
チェスターフィールドよりもフォーマル性は低くドレス・カジュアルの場が中心です。
マント系
インバネスコート
取り外しのできる長めのケープの付いた男性用のコートです。
袖があるものと無いものがあります。
スコットランド北西部のインバネス地方で生まれました。
日本へは明治時代に、袖がないものは「とんび」「二重回し」などとも呼ばれ、
着物と組み合わせて着用されました。
かつては礼装用途にも使用されていたコートになります。
ケープ
肩からゆったり下がる袖なしのコートです。
通常は前開きで、円形裁断や直線裁ちなどがあり、丈や素材、
デザインは多種多様になります。
ケープのポルトガル語である「カッパ 」は、
日本に入り合羽(かっぱ)となりました。
クローク
袖なしのコートのことで、ケープの一種になります。
古くは男性用のオーバーコートの一種(ケープ、マント)を指しました。
着た形が釣鐘に似ていることから、フランス語で釣り鐘を意味する
クロッシュあるいは、クロークからきています。
マント
ゆったりとした袖なしのコートで、ケープよりも長めの物の多くを指し、
日本でも一般にマントと呼ばれています。
袖のあるものも含めコートの類を指す言葉としても使われています。
戦前に防寒着として用いられていました。
17世紀〜19世紀頃に礼装用途にも使用されていたコートです。
ここまでレザーコートの歴史についてご紹介させていただきました。
私たちの身近には色々な革製品があります。
今後も革についての歴史などをご紹介したいと思っております。
お手入れをすれば長く使えますので、革製品での補修や染め直し(リカラー)、
カラーチェンジなどがありましたらお気軽に革研究所堺店にお問合せください。
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