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革修理ブログ
2024/12/02
ビジネスシューズ スレ傷、革の捲れ補修の施工
みなさんこんにちは、革研究所 堺店です。
ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、ビジネスシューズ 革の捲れ
補修の施工をご紹介いたします。
堺市在住 M様よりご依頼をいただきました。
ビジネスシューズは普段履かない方もいらっしゃるとは思います。
気をつけて歩いていても知らない間にスレ傷ができた、
段差や物に引っ掛けたり、ぶつけてしまったりして革が破れて捲れる事もあります。
革が捲れてしまった時の補修をご紹介していきます。
目次
写真をご覧の通り、左足のつま先の革が破れて捲れと右足のつま先や内側にスレ傷があります。
内側のスレ傷はなかなか気づかない部分ではありますが、そのままに使用すると
スレ傷が深くなったり、ひび割れてくる場合があります。
左足のつま先の革が破れて捲れている部分以外は、大きなスレ傷もないので、
左足のつま先を革が捲れている部分の修理、スレ傷補修、リカラー(染め直し)
をする事で綺麗な状態になります。
いかがでしょうか!!
右足の内側のスレ傷と左足のつま先の革が破れて捲れていましたが、
補修、リカラーをする事で綺麗な状態になり劣化を食い止めることができる
ので補修前の状態で使うよりもより長く愛用することができます。
1,クリーニング
長年の使用によって蓄積された手あかなどの油汚れを取り除く
2,非塗装部分の養生(マスキング)
ビジネスシューズの内面や靴底の塗装しない部分の養生
3,破れた革を接着
接着剤を使用し、捲れた革を元の位置に接着します
4,乾燥
5,特殊な薬剤で接着した革を補強
接着した革の間に特殊薬剤を注入します
6,乾燥
7,捲れていた部分を平滑に仕上げ
特殊薬剤で磨き、凹凸を整える。
8,革の表面を平滑に仕上げる補修材を塗布
バッグ全体に補修材を塗布し、平滑にする
9,乾燥
10,塗料を調色
数種類の塗料からグラム単位で調色
11,調色した塗料+色止めコーティングを塗布
スプレーガンで調色した塗料と色止めコーティングをバッグに塗布
12,乾燥
塗装した部分に当たらないように気を付けて乾燥
13,オイル仕上げ
ビジネスシューズ全体にオイル塗り仕上げます
15世紀ごろに皆さんが知っている革靴が誕生しました。
革靴の起源は、紀元前3500年頃の先史時代にまで遡ります。
考古学などの発掘により、古代エジプトやメソポタミア、ギリシャなどの
文明で革靴が使用されていた証拠は発見されました。
古代エジプト
エジプトでは、サンダルが一般的な履物でした。
革やパピルスで作られたもので、王族や神官のためには特別な装飾が施された
サンダルが作られました。
古代ギリシャ、ローマ
古代ギリシャでは、サンダルが一般的でしたが、
ローマにおいては、より複雑なデザインの靴が登場しました。
ローマ人は「カルセウス」と呼ばれるブーツを使用し、
戦闘用の「カリガエ」と呼ばれる革靴もありました。
中世ヨーロッパの革靴
中世になると、革靴はデザインや機能が発展し、
西ヨーロッパで広く使用されるようになりました。
中世ヨーロッパでは、靴のデザインが多様化しました。
貴族や富裕層向けの靴は豪華な装飾が施され、
長く尖ったつま先(ポイントトゥ)や、派手な色彩が使われ、
社会的地位を示す象徴となりました。
中世ヨーロッパ時代に靴底の補強が行われ、木材や厚手の革が使われるようになりました。
また、ブーツスタイルも普及し、特に馬に乗る騎士のために防護性の高いブーツが開発されました。
ルネサンス期
ルネサンス期(14〜17世紀)には、ファッションが大きな変革を遂げ、
革靴のデザインも劇的に変わります。
16世紀のフランスにおいて、男性用と女性用の革靴にヒールが誕生しました。
ヒールは騎士が馬に乗る際の利便性を高めるために使用されました。
また、富裕層の間で装飾的な要素としても採用されました。
貴族階級では、シルク、ビロード、金の糸などの豪華な素材が革靴に使用されるようになりました。
特にルイ14世の時代には、華やかな靴が流行しました。
18世紀後半から19世紀にかけての産業革命により、革靴の生産方法が大きく変わります。
産業革命により、手作業で行われていた靴作りが機械化され、大量生産が可能になりました。
これにより、革靴は一般市民にも手が届く価格となり、普及が進みました。
1869年、チャールズ・グッドイヤー・ジュニアがグッドイヤーウェルト製法を発明しました。
この製法は、靴の底を頑丈に縫い付ける技術で、耐久性が高く修理もしやすいため、
高級革靴の製造に今でも広く用いられています。
20世紀に入ると、革靴のデザインや用途が多様化し、さまざまなライフスタイルに対応する革靴が登場しました。
1920年代には、アスリートのためのスポーツシューズが革で作られ、
機能性を重視したデザインが求められるようになりました。
これが、現在のスニーカーの原型となっています。
20世紀半ば以降、フォーマルな場面で履くドレスシューズと、
日常的に履くカジュアルシューズのデザインが大きく分化しました。
ウィングチップやローファー、オックスフォードなどのスタイルが定番化しました。
現代では、革靴の製造には伝統的な手法と新しい技術が融合しています。
カスタムメイドと高級ブランド
一部の高級革靴ブランドでは、職人による手作りやカスタムメイドの靴が人気となています。
手作りやカスタムメイドをする事により、個人の足に完璧にフィットする靴を作ることが可能になりました。
エコフレンドリーな素材の使用
近年では、持続可能な革の製造や、代替素材(ヴィーガンレザー)の使用が注目されています。
伝統的な革製造の環境負荷を減らす取り組みが進められています。
テクノロジーの導入
足の形状をスキャンして、3Dプリント技術を使って靴を製造するなどの最新の技術が
革靴の製造にも取り入れられています。
これにより、カスタムフィットがより手軽になりつつあります。
製法のご紹介
グッド・イヤー製法
堅牢な作りあるため、重く硬い仕上がりとなります。
グッド・イヤー製法の長所
水が浸入しにくく、コルクの沈みにより、
履いている人の足型に馴染んでいきます。
最初のうちは長時間の歩行が付かれますが、足型に馴染むと
長時間の歩行も楽になります。
グッド・イヤー製法の短所
コルクは高く、コストパフォーマンスがとても悪いです。
そして重みのある靴となっています。
ビジネスシューズやワークブーツに用いられる事がとても多くなっています。
マッケイ製法
甲革とソールを直接縫いつけています。
マッケイ製法は、柔らかく、軽量で安価に仕上げられています。
マッケイ製法の長所
コストが安くとても軽量に作られています。
薄い革で仕上げられている為、靴底の返りが良くなっています。
通気せいが良いのもマッケイ製法の特徴です。
マッケイ製法の短所
クッション性が乏しく長時間の歩行は歩き疲れが生じてしまいます。
甲革とソールが直接縫い付けられている為、水が浸入しやすく、
柔らかい分、堅牢性は乏しいのが特徴です。
また、雨の日には要注意な革靴です。
セメント製法
革と靴底の縫い付けはせず強力な糊で接着する技術です。
革靴だけではなく、靴全般に使用されています。
長所
コストが非常に安く、水が浸透しにくいです。
短所
蒸れやすく、修理が困難な為使い捨てになりやすいです。
革靴に使用されている素材のご紹介
「天然皮革と人口皮革」の違いはご存じでしょうか。
「革」と「皮」の違いはご存じでしょうか。
皮と革の違いですが、皮は動物の体からはいだ状態をさします。
それをなめし加工した物を革と呼びます。
皮はスキン、ハイド。
革はレザー。
と区別されています。
本革(天然皮革)
革の種類はたくさんありますが、革靴に使われる革を簡単にご紹介します。
カウレザー(牛革)
昔から最も多く使用されているのが牛革です。
牛革と言っても、年齢、性別によって、品質が全く異なります。
馬革
お尻部分は、繊維が緻密で光沢感もあり、コードバンと呼ばれています。
ピッグスキン(豚革)
裏革(革靴の内側)として使われる他、ベロアの甲革としても使用されています。
羊革
キメが細かくソフトな素材の革です。
子羊の革をラムスキンと呼ばれています。
山羊革
やや硬めな革になります。
子山羊の革は薄くキメが細かく、キッドと呼ばれています。
合皮(人工皮革)
合成皮革、合皮などという言葉で聞いたことがあるかと思います。
これはつまり革風に仕上げたということです。
価格がリーズナブルであり、雨や傷に滅法強いのがこちらの合皮。
クリームやオイルなどを塗布しても革ではないので、
浸透しないので、意味はありません。
ただ、革と違って馴染むということはありません。
通気性もよくありません。
また、長く使っていくと、経年劣化でひび割れが起こったり、
合皮がポロポロと剥がれてきます。
長く愛用していくという素材には適していません。
ここまで革靴の歴史についてご紹介させていただきました。
私たちの身近には色々な革製品があります。
今後も革についての歴史などをご紹介したいと思っております。
お手入れをすれば長く使えますので、革製品での補修や染め直し(リカラー)、
カラーチェンジなどがありましたらお気軽に革研究所堺店にお問合せください。
革研究所 堺店
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